ここ数日で一気に冷え込んできましたね。
今朝、雨戸を開けると霜が降りてましたよ。
さて、今日は作り手からみた地塗りと地無しのことについてちょっと語りたいと思います。
と、その前に大まかな二つの特徴の違いを…
「地塗り」
・音程は安定
・音量はでやすい
・音色は少し硬い〜硬い
・管内部に漆の生地を塗ることで調律する
・中継ぎを作る事が多い
「地無し」
・音程が不安定
・音量はでない
・音色は柔らかい
・管内には基本的に生地は塗らず、節や指孔で調律する
・ほとんど中継ぎは作らない
と、まぁ一般的によく知られる違いはこんなところでしょうか?
で、ここからは製管師として感じる違いです。
・手間の多さ:地塗り>地無し
・竹材の影響:地塗り<地無し
・コントロールのしやすさ:地塗り>地無し
※ここでは、加工による音程・音量・音色などのコントロール
・難しさ:地塗り<地無し
・経年後の音の変化:地塗り<地無し
・金額設定:地塗り>地無し
まず、手間は地塗りの方が圧倒的にかかります。地塗りの場合、がんばってフルスピードですんなりといったら1月ですが、地無しの場合1〜2週間ほどで出来ます。なぜなら、圧倒的に作業工程が少ないから。しかし、こと竹材選びやその材質による影響は、地無しの方が非常にシビアです。延べ管ですので節間のよいもの、そして肉厚で頑丈なものを選ばないといけませんし、孔を開けてみても管内の口径は千差万別ですので音程はゴロゴロ変わります。しかもほんの少し節を多く削ったり少なかったりで、吹きやすさも変わります。昔から、地無し製管では30本開いて、1本上手くいけば良い方といわれるぐらいのものでした。つまり、30本分の竹材をムダにするということです。そういう点では、地無しは難しいですし、運の要素が強すぎるといえるでしょう。しかも、手間が少ないので金額を高値にしづらいといこともあります、素人目には竹に孔を開けて漆塗っただけに見えてしまうものですから。う〜ん、辛いところです。
まぁ、何というか愚痴みたいなものですが、つまるところ地無し尺八の場合は「工芸品」と思わずにダイヤモンドの原石みたいな「偶然の恵み」と思ってもらって、カットを入れて美しくするように、それに足して加工が加えられているものなんだ、貴重なものなんだと感じていただきたいといいますか、なんといいますか…。思ってるほど、ポンポン出来るものでもないということです。
今日は、地無しのよさをアピールしようかと思っていたのですが、半ば愚痴みたくなってしまいました。気をつけねば…地無しは吹けば面白いし練習にもなるんですよ、いやホント
葛山幻海