2012年12月03日

地無しと地塗り

おはようございます。
ここ数日で一気に冷え込んできましたね。
今朝、雨戸を開けると霜が降りてましたよ。

さて、今日は作り手からみた地塗りと地無しのことについてちょっと語りたいと思います。
と、その前に大まかな二つの特徴の違いを…

「地塗り」
・音程は安定
・音量はでやすい
・音色は少し硬い〜硬い
・管内部に漆の生地を塗ることで調律する
・中継ぎを作る事が多い

「地無し」
・音程が不安定
・音量はでない
・音色は柔らかい
・管内には基本的に生地は塗らず、節や指孔で調律する
・ほとんど中継ぎは作らない

と、まぁ一般的によく知られる違いはこんなところでしょうか?

で、ここからは製管師として感じる違いです。

・手間の多さ:地塗り>地無し
・竹材の影響:地塗り<地無し
・コントロールのしやすさ:地塗り>地無し
※ここでは、加工による音程・音量・音色などのコントロール
・難しさ:地塗り<地無し
・経年後の音の変化:地塗り<地無し
・金額設定:地塗り>地無し

まず、手間は地塗りの方が圧倒的にかかります。地塗りの場合、がんばってフルスピードですんなりといったら1月ですが、地無しの場合1〜2週間ほどで出来ます。なぜなら、圧倒的に作業工程が少ないから。しかし、こと竹材選びやその材質による影響は、地無しの方が非常にシビアです。延べ管ですので節間のよいもの、そして肉厚で頑丈なものを選ばないといけませんし、孔を開けてみても管内の口径は千差万別ですので音程はゴロゴロ変わります。しかもほんの少し節を多く削ったり少なかったりで、吹きやすさも変わります。昔から、地無し製管では30本開いて、1本上手くいけば良い方といわれるぐらいのものでした。つまり、30本分の竹材をムダにするということです。そういう点では、地無しは難しいですし、運の要素が強すぎるといえるでしょう。しかも、手間が少ないので金額を高値にしづらいといこともあります、素人目には竹に孔を開けて漆塗っただけに見えてしまうものですから。う〜ん、辛いところです。

まぁ、何というか愚痴みたいなものですが、つまるところ地無し尺八の場合は「工芸品」と思わずにダイヤモンドの原石みたいな「偶然の恵み」と思ってもらって、カットを入れて美しくするように、それに足して加工が加えられているものなんだ、貴重なものなんだと感じていただきたいといいますか、なんといいますか…。思ってるほど、ポンポン出来るものでもないということです。

今日は、地無しのよさをアピールしようかと思っていたのですが、半ば愚痴みたくなってしまいました。気をつけねば…地無しは吹けば面白いし練習にもなるんですよ、いやホント


葛山幻海
posted by 幻海 at 10:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 尺八 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月06日

吹きすぎないことの大切さ

おはようございます。
さて、先日地無しをアピールしようとしていたら愚痴みたいになってしまいましたので、今日はそれの挽回戦を試みたいと思います。

まぁ、地無しに限らずの話なのですが、尺八しかり物事にはやりすぎると返ってよくない、面白くないという事がままあります。私なんかは性格が真面目一遍なものですから、ついついがんばって吹きすぎてしまったり、上手く力が抜けてないなんて事があるんですね。しかし、人に感動を与える演奏というものはそんな単純なものではないのです。しっかり吹くところがあれば、あえて力を抜くところあり、強いところあれば、弱いところあり、高い音あれば、低い音ありと千遍万化、抑揚自在であるからこそのものだと言えます。

とはいえ、それが自由自在にならないし、どうすれば出来るようになるかというと難しく、長い時間がかかります。そこで最初の「地無しの挽回戦」です。地無しという楽器は、構造上どうしても地塗りに比べて未成熟な楽器で、音量や音程といったものが劣ります。さらに空気も抜けすぎるので、吹いていても全ての息が音に変ってこないということもあります。要するに、普段と同じように吹いても思っているほど鳴らないんです。だから、いい意味での諦めといいますか「こんな感じでもいいんだ」という気持ちになってくるのです。

禅の思想では「諦めの境地」というものがあり、いかに物事に執着せず、あるがままを受け入れられるか、ということを大切にしているといいます。かの茶聖千利休は、茶席でよく見せようという一切の気負いなく、相手をもてなすことに一心で、その姿こそが並み居る戦国武将に畏敬の念を抱かせたといわれています。

地塗りでは音が鳴りすぎて感じにくい事でも、地無しを吹くことで得られる事もあります。私も、いつか気負いなく尺八を吹けるようになりたいものです。これで、少しは名誉挽回できてればいいんですけど・・・どうかな


葛山幻海
posted by 幻海 at 09:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 尺八練習 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月11日

楽曲解説に参考音源追加

おはようございます。
毎日、寒いですね。おかげで、鼻風邪気味です。

象牙+銀巻きの歌口

さて、ホームページの方とYoutubeに三谷本手調子の参考音源を追加しました。他にも虫の音・玉川・近江八景などの楽曲解説も追加していますのでよかったらどうぞ。それと、尺八修理のページに水牛角銀巻きと象牙銀巻きのサンプル画像も追加しました。象牙は、加工後すぐは青白いのですが、経年で乳白色というか象牙色の独特な色合いに変ってきます(まぁ、象牙なんで当たり前ですが…)。あと、白いので銀よりも金のほうが映えるんですが、今回は銀の写真にしておきました。かわって水牛は、黒地なので金よりも銀のほうが線がはっきりしていいんですよね。あと、最近変った物としては、地無しにマッコウクジラの歯を入れてみました。それもそのうち写真をアップしたいと思っています。

黒水牛+銀巻きの歌口

よかったら、ホームページの方もご覧ください。

葛山幻海
posted by 幻海 at 09:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 尺八 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
尺八の修理・販売のことは、尺八修理工房幻海にご相談ください。英語版サイトもあります。他にも、尺八の保管方法などお得な情報も発信中。尺八関連の小物(譜面台・歌口キャップなど)の販売はGNKAI Music Web Shop
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